こんにちは、風船(@fusen_niconico)です。
以前お世話になりました、ASUS JAPAN株式会社様から、次世代Wi-Fi規格の802.11ax(ドラフトですが)に対応した新製品の「RT-AX88U」をお借りいただく事ができましたのでこの度レビューさせて頂きます!
詳細なスピードテスト等は有名な方が既にされているので、外観と機能レビュー、簡易的なスピードテスト、1ヶ月ほど使用させていただいた感想を述べさせていただきたいと思います。
802.11axについて
さて、このWi-Fiルーターが暫定的に対応している802.11axについてご説明したいと思います。
802.11axは、次世代のWi-Fi規格のことで、現行ac規格よりもより高い伝送速度を実現しています。
今回紹介するASUSのRT-AX88Uでは、acでは理論値2600Mbpsだったのが、axにより理論値6000Mbpsまで向上しています。
ネットワークが効率化

axは、OFDMAとMU-MIMOによりネットワークの効率化も図れます。
acでは、ネットワークチャンネル1つにつき1台の処理しか行う事ができませんでしたが、axではチャンネルをさらにサブチャンネルで分割が可能になり、複数のデバイスへの信号をまとめて送信することが可能なので遅延のないスムーズな通信が可能になるようです。
省電力

Target Wake Timeにより、デバイスのデータ通信の間隔調整を行い、ルーターからの信号待機が必要のないときはスリープ状態にすることが可能になるようです。これにより、最大7倍近くバッテリーを長持ちさせることができるようです。
バケモノスペック

こちらの製品は、最新鋭のスペックを持ち合わせています。
なんと、64Bit対応の1.8GHz クアッドコアCPU Broadcom BCM4908が搭載されています。
メモリも1GBです。
起動時間も大幅に短縮され、約1分ほどで起動するようになりました。(これまでのモデルは2~3分ほどかかっていました)
実際の起動時間はこちらの動画よりご確認いただけます。
これまでのモデルを使っている方にとって、この速さは感動ものではないでしょうか。
私の場合、正直なところこれだけでも買い換える価値があると感じてしまいました。
開けてセットアップ
それでは早速サンプル品を開封してセットアップしていきます。
こちらが表写真。
開けてみると、WTFastの説明書と、802.11axが関係するワイヤレスアダプターのドライバーのインストールガイドが付属していました。
本体下に、アンテナと電源アダプター、LANケーブルが入っていました。
付属品はこれだけ。非常にシンプルです。
本体裏面です。今回の製品は、以前のシリーズとは違い、LANケーブルの順番等が逆になっています。
特に、LAN1とLAN2はNAS等をBond接続にする場合に必要な端子なので、既存の環境からそのまま移行すると接続順が逆になってしまいます。注意が必要です。
地味に嬉しいのが、フロント部分だけでなく裏面のUSB端子もUSB3.0になったことです。
USB3.0のHDDを接続していた方などは、フロント部分のカバーを開く事なく接続ができるようになり、より見た目がすっきりするのではないかと思います。
フロント部分はこれまでと同様にUSB3.0が一つです。
セットアップ
それではセットアップを行っていきます。
今回は、ASUSさんが提供している「ASUS Router」アプリを使ってスマートフォンからセットアップを行います。
私の場合は既に既存のルーターをセットアップしてあるのでこの画面です。
右上の「+」から”新しいASUSデバイスのセットアップ”をタップ。 ”ASUS無線ルーターをセットアップします”をタップ。
セットアップされていないASUSルーターのWi-Fiに接続。
”ASUS_78_5G”というWi-Fiがルーターから飛んでいる5GHzのWi-Fiです。2Gは2.4GHzです。
RT-AX88Uのセットアップ画面が表示されます。「開始」をタップ。
接続タイプの検出が始まります。
私の環境は少々特殊なので、”手動で設定をする”でやり直し。
SSIDや暗号化キーなどのワイヤレス設定を行います。
こちらが今回の目玉の「802.11ax」の設定項目です。
最後にルーターへのログイン設定を行います。
ルーターへの設定内容の適用が始まります。
設定が完了したルーターへの接続方法が表示されます。
必要に応じてルーターへのリモート接続設定も行います。
これでセットアップが完了しました。
スピードテスト
セットアップが完了したので、早速スピードテストをしてみました。
スピードテストは、以前AiMeshを構築した状態でのスピードテスト記事で計測した地点を利用しました。
なお、明らかに接続が安定していることが丸わかりな⑤(リビング)は除きました。
また、比較用として以前お世話になったRT-AC88Uを比較結果として載せておきます。
①自室
ルーターを設置した部屋での計測結果です。
下り
5GHz | 2.4GHz | |
RT-AX88U | 126.0 Mbps | 48.3 Mbps |
RT-AC88U | 84.2 Mbps | 57.0 Mbps |
上り
5GHz | 2.4GHz | |
RT-AX88U | 75.1 Mbps | 80.0 Mbps |
RT-AC88U | 80.7 Mbps | 83.9 Mbps |
計測したタイミングの問題なのか、何度か計測してみましたがRT-AC88Uのほうが上回る結果が出ました。
②浴室
お風呂場での計測結果です。
下り
5GHz | 2.4GHz | |
RT-AX88U | 119.0 Mbps | 107 Mbps |
RT-AC88U | 108.0 Mbps | 24.4 Mbps |
上り
5GHz | 2.4GHz | |
RT-AX88U | 88.5 Mbps | 71.1 Mbps |
RT-AC88U | 35.3 Mbps | 6.85 Mbps |
結構離れたお風呂場で、早速結果に大きな違いが出てきました。
5GHzはどちらも健闘していますが、2.4GHzはRT-AX88Uが優勢ですね。
③キッチン
恐らく自宅内で一番端とも言えるキッチンでの計測結果です。
下り
5GHz | 2.4GHz | |
RT-AX88U | 計測不可 | 8.67 Mbps |
RT-AC88U | 30.3 Mbps | 19.4 Mbps |
上り
5GHz | 2.4GHz | |
RT-AX88U | 計測不可 | 1.78 Mbps |
RT-AC88U | 22.5 Mbps | 4.81 Mbps |
興味深いことに、RT-AX88Uは計測ができませんでした。
本当に家の端なのでこれが単体ルーターでの限界と言ったところでしょうか。
④1階PC
ネット専用PCを設置している場所です。
下り
5GHz | 2.4GHz | |
RT-AX88U | 67.5 Mbps | 24.3 Mbps |
RT-AC88U | 33.5 Mbps | 6.33 Mbps |
上り
5GHz | 2.4GHz | |
RT-AX88U | 76.5 Mbps | 1.95 Mbps |
RT-AC88U | 22.2 Mbps | 0.50 Mbps |
こちらも電波が苦しむスポットのようで、2.4GHzだと非常に苦しそうです。
5GHzだとそこそこなスピードをキープしてくれています。
ただし、ネットを閲覧するだけという目的なら2.4GHzも必要十分な速度が出ていますね。
いかがでしたでしょうか。802.11ax環境がなくても、環境次第では既存モデルよりも安定した通信が期待できそうです。
1ヶ月ほど使ってみて
約1ヶ月ほどお借りして使わせていただきましたが、(どちらの意味でも)気づいた点が何点かあるのでご紹介します。
良かった点
まずは良かった点からです。
起動時間が速い
設置して真っ先に気づくのがこれだと思います。初回のセットアップが可能になるまでも非常に速いです。これなら再起動を伴う設定変更も安心して行う事ができますね。
既存モデルよりも安定した通信が可能かも
環境にもよると思いますが、新規格に対応した環境がなくとも、このルーターの性能アップを享受することは可能のように思えます。「かも」としたのは、あくまで「可能性」の話が拭いきれなかったためです。
いち早く「802.11ax」対応のルーターを出す勇気
これは、実際に担当者の方からお伺いした話なのですが、ASUSとしてはいち早く他社に先行して802.11ax対応のルーターを出したかったそうです。ドラフト(暫定制定)段階でのこういった次世代規格へのすばやい対応は素晴らしいと思いました。
イマイチな点
言いにくい内容ではありますが、イマイチな点も存在します。
価格が少々高い
新規格対応ルーターとバケモノスペックが合わさってなのか、価格は高い部類に入ります。2019年3月3日現在の価格で、約46,000円です。これまでの同シリーズの価格帯は25,000~30,000円のあたりを行き来していたと思うので、そこそこな価格差があります。普及機となればもう少し安くなるかな?
5GHzのWi-Fiが突然消える
使っていて気づいたのですが、再起動も何もしないで電源を入れたままにしておくといつの間にか突然5GHzのWi-Fiが消失します。再起動するとまた現れるのですが、なぜかまた消えます。
こちらも担当者の方にお伺いしたところ、初期不良の可能性が高いとのこと。
私の場合も、交換していただいたらあっさり解決したので、同様の症状が現れたらASUSのサポートに連絡した方が良いと思います。
まとめ
ASUSさんよりついに登場した802.11ax対応ルーターを紹介させていただきました。
それ以外にも各社から同様に対応ルーターが登場しています。
ASUSのルーターのメリットとして、対応モデルであれば機種に関係なくAiMeshノードとして登録が可能なところが挙げられます。ax対応の子機やデバイスが登場するまでは、ax対応ルーターをAiMeshで構築することが一番効果を体感しやすいのではないかと思います。
機会があれば、ax対応ルーターを複数使ったAiMeshスピードテストなんてのもしてみたいですね。
それでは!